ヴェネローゼ異聞

「そうさ。確実に存在するんだ。ボク達ラビリス使いの運命を操る――*何か*がね」

(≪緑眼≫の戯言)

冥界の門(シナリオの作成)

シナリオとは?

このゲームは、≪プロローグ表≫や≪シーン表≫を振って、内容を想像することで、いろいろな物語を作ることができます。

しかし、GMが用意をすれば、表を振ってランダムに決めるのではなく、あらかじめある程度あらすじの決まった物語を遊ぶこともできます。これを「シナリオ」と呼びます。

シナリオは、これまでに説明したルールを部分的に改変することで、簡単につくることができます。逆に言えば、特にこだわりのない部分は、通常のルールをそのまま使用したり、プレイヤーに任せても大丈夫なのです。

PC作成の指定

GMは、プレイヤーに対して、どのようなPCを作ってほしいか指定することができます。

たとえば、「虐げられたチェンジリングの話をやりたいので、そんな感じのエゴを持ったチェンジリングにしてほしい」、「パーティーにヒロインがいてほしいので、10代の少女にしてほしい」というようなことを、あらかじめプレイヤーに伝えておきましょう。

また、今まで冒険を重ねてきたラビリス使いたちで遊ぶ場合も、「今回は君のキャラを主人公にした話をやりたい」だとか、「このふたりが頭をぶつけてエゴと関係が入れ替わってしまった設定の話をやりたい」といったお願いをすることができます。

もちろん、プレイヤーが嫌がることをあまり強制してはいけません。選択の余地がないほどキャラクターを指定したり、思い入れのあるキャラクターに酷いことをするようなシナリオを作るときは、慎重に考えてください。

プロローグの指定

GMは、地上パートで、どのPCがどのプロローグを行うかをあらかじめ決めておくことができます。

また、GMは、オリジナルのプロローグを作成することができます。どの場所で、どういった出来事が起こって、どのように目的を入手するのか、自由に決めることができます。

このようにして作ったプロローグを集めて、オリジナルの≪プロローグ表≫を作ってもよいでしょう。

目的の指定

GMは、どのPCがどの目的を獲得するのかをあらかじめ決めておくことができます。

また、GMは、オリジナルの目的を作成することができます。

「特定のPCと【恋人】の関係を獲得する」だとか、「GMが作ったオリジナルの怪物に勝利する」といった、元々用意されている目的よりも少し踏み入った内容の目的を設定するとよいでしょう。

シーンの指定

GMは、地下パートにおいて、どのような順番でどのようなシーンが発生するかをあらかじめ決めておくことができます。

1シーン目はかならずイベント、2シーン目はかならず戦闘……といったように、シーンを好きな順番で並べることができるのです。

シーンをすべて決めるのが大変なら、重要なシーンだけを決めて、他のシーンはシーン表を振ってもらってもよいでしょう。

また、シーンの内容を自由に変えたり、分岐を作ったりすることもできます。

たとえば、3シーン目で主人公とライバルの1対1の戦闘が起こり、それに勝利していれば4シーン目は階段……といったふうにです。シーンをすごろくのように配置して、ダンジョンのようなものを作っても面白いかもしれません。

イベントの指定

GMは、地下パートにおいて、どのイベントが起きるかをあらかじめ決めておくことができます。

そして、もちろん、オリジナルのイベントを作ることもできます。プロローグの内容やPCたちの目的と絡ませたイベントを用意すれば、物語はより重厚なものとなるでしょう。

オリジナルのイベントでは、意志判定に目標値を設定したり、一定以上の達成値を出すことで展開を変化させたりすることもできます。

たとえば、目標値5の意志判定に成功すれば燃えさかる廃墟からヒロインを救出でき、達成値が10以上ならば彼女の家族も救出できる……といったイベントを作ることもできます。

その他のオリジナルデータの作成

その他にも、オリジナルのデータを用意することができます。

オリジナルのクラス、ラビリス、エゴ、属性、アイテム、貴重品、関係などを作成し、プレイヤーたちに使ってもらうことができます。それらを持っていることが物語の鍵となるような設定を考えてもいいでしょう。

また、オリジナルの怪物やアビスを作成し、彼らの前に立ちはだからせてもよいのです。冒険の終盤に強敵が現れる展開などがあれば、きっと盛り上がるはずです。

GMのキャラクター

これまでにも説明した通り、プレイヤーがGMを兼ねることもできます。

その場合、GMの操るラビリス使いが、今回の物語について何か鍵を握っている……という演出をすることもできます。

共に冒険をする仲間でありながら、何か言えない秘密を抱えていたり、もしかしたら事件の黒幕だったりするのかもしれません。

ただし、TRPGはみんなで遊ぶゲームです。GMだからといって、自分のPCばかりを目立たせるシナリオを作ってしまうのも考えものです。そこはよく注意してください。

また、同じパーティーで何回もゲームを遊ぶなら、1回ごとにGMを交代して、それぞれのPCについて掘り下げるシナリオを作ってくるという遊び方をしても楽しいでしょう。

その他

その他にも、今まで挙げた内容にとらわれないオリジナルのルールを考えることができます。

たとえば、「共鳴度が5になったら必ず憎悪を取得しなければならない」だとか、「判定を失敗するたびにPCたちがいやらしい目に遭う」といったルールを自由に設定することもできるのです。

シナリオ情報の公開

GMは、シナリオの内容を事前にプレイヤーたちに教えることも、教えないこともできます。

たとえば、冒険の最後に強敵が現れ、それを倒すことが目的のシナリオだとあらかじめ伝えてもよいですし、何の情報もない状態から事件に巻き込まれ、最終的に強敵と戦うことにしてもかまいません。

なにごとにも、事前にわかっていて心の準備ができていたほうが面白いことと、予期しない驚きであったほうが面白いことがあります。シナリオの内容をどの程度プレイヤーたちに伝えるかは、GMのセンスの見せどころです。

また、自分の作ったシナリオを公開して、他の人に遊んでもらうこともできます。

サンプルシナリオ「神威を見る酒場」

参加PCについて

このシナリオに、参加PCに対する指定は特にありません。何度か探索や成長を重ねたパーティーで遊ぶことを推奨します。

地上パート

PCは、それぞれ、下記の≪「神威を見る酒場」プロローグ表≫を振ってプロローグを決定します。

また、GMがキャラクターの性格や属性などから、任意のプロローグを割り振ってもかまいません。

≪「神威を見る酒場」プロローグ表≫
サイコロを1つ振り、数字に対応する内容を見てください。
1,2場所:『教会』
迷宮都市のさらに深層を目指す冒険者たちが、「12階の怪物」のせいで足止めを食っているらしい。腕に覚えのある者にと、調査の御触れが出ているようだが……。

難易度6の調査判定に成功すれば、君は目的「12階の怪物を倒す」を獲得できる。
3,4場所:『旅人の宿』
ラビリス使いの間でまことしやかに囁かれる噂。12階に到達すると、この世のものとは思えないとても美しい歌声が聴けるのだという……。

難易度6の調査判定に成功すれば、君は目的「12階の歌姫の声を聞く」を獲得できる。
5,6場所:『阿片窟』
身体を大きく削がれ、痛みを阿片で抑える男と出会う。彼は迷宮の12階で「天使」を見たのだとという。君はそれを薬物中毒者の戯言と無視するか、それとも……。

難易度6の調査判定に成功すれば、君は目的「12階の天使を見る」を獲得できる。

地下パート

1~11階までは、通常の≪シーン表≫を振ってセッションを進行してください。

12階に到達したら、シーン表を振らず、以下の順番でシーンが発生します。

  1. キャンプ
  2. イベント『神威を見る酒場』
  3. 「打ち捨てられた酒場跡。めくれた床板の底から、ひどく無機質な、美しい歌声が聞こえる。君達は……。」

    このイベントで意志判定に失敗したPCは、怪物たちの奇襲により10点のダメージを受けます。

    また、意志判定で10以上の達成値が出た場合、先手を打つことに成功し、次の戦闘シーンの≪クリーデンプリースト≫を1体減らすことができます。

  4. 戦闘
  5. ≪偽装天使≫×1 ≪クリーデンプリースト≫×2との戦闘が発生します。

    この戦闘に勝利すれば、ヒーローは≪戦果表≫を振るのではなく、【歯車】を入手します。

≪偽装天使≫
可憐な容姿と美しい歌声で人を欺き、その血肉を食らう悪鬼。
hp300
攻撃力30
アビス【マキナ】
【ダイス】

1:
2:
3:
4:【採魂の刻印】PC全員を【傷痕】状態にする。
5:【採魂の刻印】PC全員を【傷痕】状態にする。
6:【楽園の幻影】【傷痕】状態のPCに50ダメージを与える。
≪クリーデンプリースト≫
弾圧された宗教家が呪われた屍者『クリーデン』と化したもの。その信仰は今や冥界の怪物たちに向けられている。
hp100
攻撃力10
アビス【禁呪】
封殺判定・逃走判定が失敗したとき、≪偽装天使≫のhpを30回復。この効果は重複する。

アフタープレイ

通常通りのアフタープレイを行ってください。

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