ヴェネローゼ異聞

「隙を、見せるな。食らえば、死ぬ。だから、怪物なんだ」

(≪雪の使徒≫の自戒)

叙事詩に残る一撃(戦闘)

戦闘とは?

地上パートや地下パートにおいて、「戦闘」が発生することがあります。

戦闘は、PCたちか「怪物」のどちらかが倒れるまで、「封殺判定」を繰り返すことによって進行します。

戦闘の参加者

戦闘は、参加者が指定されている場合、参加者を自由に決定できる場合があります。戦闘を開始する前に、その戦闘の参加者を確認してください。

行動不能状態のPCも戦闘に参加することができます。また、「パーティーの全員」などといった指定がある場合、行動不能状態のPCもその対象に含みます。

一度決定した戦闘の参加者は、原則として変更することはできません。ただし、ラビリスやエゴ、貴重品などの特殊な効果によって変更される場合もあります。

怪物

戦闘において立ちふさがる敵のことを、「怪物」と呼びます。戦闘を開始する前に、怪物の種類と数を確認してください。

また、お話を作っていると、対立するラビリス使いたちや、か弱い一般人と戦ったりすることもあるかもしれません。その場合も、ゲームのデータ上は怪物として扱います。

怪物のデータは以下の要素で構成されています。

封殺判定

「封殺判定」は、PCたちが怪物に対して先手を取り、圧倒できたかを決定する判定です。このゲームの戦闘は、この封殺判定を繰り返すことで進行します。

戦闘の参加者のうち、行動不能状態でないもの全員で判定を行います。封殺判定には、通常、目標値はありません。特殊な指定がないかぎり、ファンブル(絶対失敗)しなければ成功になります。

封殺判定が失敗すると、PCたちはダメージを受けます。

行動不能状態でない怪物すべての攻撃力を合計し、行動不能状態でないPC全員に均等に分配して、ダメージを算出してください。端数は切り捨てます。

1回封殺判定を行い、その内容を解決するまでの処理を、まとめて「ターン」と呼びます。

アイテム、貴重品、関係の使用

アイテム、貴重品、関係などの効果で、使用できるものがあれば、好きなタイミングで使用できます。

ラビリス・エゴの使用

PCは、封殺判定1回につき、ラビリスもしくはエゴを1回使用することができます。

封殺判定が成功していれば、初期ラビリスを使用することができます。封殺判定が成功していても失敗していても、封殺判定でのサイコロの出目に対応する番号のスロットにラビリスもしくはエゴを習得していれば、それを使用することができます。

ラビリス、エゴ、アイテム、貴重品、関係などの効果でサイコロの出目が変化したり、封殺判定の成功・失敗が覆った場合、使用できるラビリスやエゴもそれに合わせて変化します。

それでも使用できるラビリスやエゴがない場合は、残念ですが、あなたがこのターンにできる行動はありません。アイテム、貴重品、関係などを使用することはできます。

処理の順番

1回の判定で多くの処理を行うため、順番に戸惑うかもしれません。以下のような順番で解決していってください。

  1. 「封殺判定の直後」
  2. 「封殺判定の直後」と書かれている場合、封殺判定でサイコロを振り、一番最初にそれらの内容を処理してください。

  3. サイコロの出目、達成値の変化
  4. ラビリスやエゴ、アイテム、貴重品、関係の効果には、サイコロの出目や判定の達成値を変化させるものがあります。これらは他のラビリスやエゴの使用条件に影響を及ぼすので、優先して処理してください。

  5. それ以外の処理
  6. それ以外のラビリスやエゴ、アイテム、貴重品、関係の効果、そして封殺判定が失敗したときの全体ダメージは、自由な順番で解決してかまいません。

    たとえば、回復効果のあるラビリスを、ダメージを受ける前に使用することも、ダメージを受けた後に使用することもできます。封殺判定失敗によるダメージを処理する前に怪物をステータス変化状態や行動不能状態にすれば、その怪物の攻撃力ぶんのダメージを軽減することもできます。

    ただし、ひとつのラビリス・エゴによる効果や、封殺判定の失敗による全体ダメージは、それ以上分割せず、同時に処理してください。

  7. 「ターン終了と同時」
  8. ターン終了と同時、と書かれている場合、最後に処理してください。ステータス変化のカウント減少などがこれにあたります。

勝利と敗北

一連の処理が終わった時点で、怪物のすべてが行動不能状態であれば、その戦闘は「勝利」として終了します。

また、戦闘に参加しているPC全員が行動不能状態であれば、その戦闘は「敗北」として終了します。

戦闘に敗北しても、戦闘に参加していないPCが行動不能状態でない場合は全滅にはなりません。が、目的の獲得や≪戦果表≫を振るための条件は満たせないことに注意してください。

勝利の条件も敗北の条件も満たしていなければ、もう一度封殺判定を行います。これを、戦闘の決着がつくまで繰り返します。

ヒーロー

「ヒーロー」とは、その戦闘で最も活躍した参加者のことです。ヒーローには、2種類の選び方があります。

  1. 戦闘の決着がついたターンで、怪物に与えたダメージが最も高いPC。
  2. 戦闘全体を通して、怪物に与えたダメージの合計が最も高いPC。

通常は、1の方法でヒーローを決定してください。なぜなら、ヒーローを選出するためだけに、PCひとりひとりの出したダメージを記録していくのは手間がかかるからです。

それを承知の上で、もっと平等にヒーローを選びたい、という場合のみ、2の方法を採用してください。

条件に当てはまるPCがふたり以上いる場合は、話し合いやじゃんけんなどでどちらがヒーローになるか決めましょう。

ヒーローは、戦闘に参加していた中から好きなPCをひとり選び、ヒーローを譲ることもできます。その際、できるだけ、そのPCの方がヒーローにふさわしい理由を添えてください。

逃走判定

戦い続けてもとても勝てる見込みがない場合や、消耗を避けたい場合、封殺判定の代わりに「逃走判定」を行うことができます。逃走判定にも、通常、目標値はありません。

逃走判定には、戦闘に参加しているPCのうちから、自由に参加することができます。ただし、戦闘に参加していて、かつ逃走判定に参加しなかった、もしくはできなかったPCは、hpが0になり、即座に行動不能状態となります。

逃走判定に成功すれば、その戦闘を終了することができます。逃走は、勝利扱いにも敗北扱いにもなりません。目的の獲得や≪戦果表≫を振るための条件は満たせないことに注意してください。

逃走判定に失敗すれば、封殺判定の失敗と同様のダメージを受けます。逃走判定でもアイテム、貴重品、関係の効果を使用することはできますが、ラビリスやエゴを使用することはできません。

ステータス変化

PCや怪物は、戦闘中、「ステータス変化」と呼ばれる状態になることがあります。これは、特殊な攻撃を受け、その影響が継続している状態を表します。

すべてのステータス変化は、戦闘終了と同時に解除されます。また、戦闘中でも、hpが1でも回復したとき、ステータス変化を解除することができます。

また、【麻痺3】のように数字表記のつくステータス変化は、ターンの終了と同時に数字が1つずつ減っていき、0になると同時に解除されます。

ステータス変化一覧
名称解説
【猛毒】 猛毒状態のPCもしくは怪物は、封殺判定と同時に10点のダメージを受ける。
【治療】 治療状態のPCもしくは怪物は、封殺判定と同時に10点までhpを回復できる。
【傷痕】 傷痕状態のPCもしくは怪物は、ダメージを受けるたびに追加で10点のダメージを受ける。
【再生】 再生状態のPCもしくは怪物は、ダメージを受けるたびに10点までhpを回復できる。
【反撃】 反撃状態のPCもしくは怪物は、ダメージを受けるたびに攻撃してきた相手に受けたダメージと同じ点数のダメージを与える。
【麻痺】 麻痺状態のPCはラビリス・エゴを使用できない。
麻痺状態の怪物の攻撃力はPCへのダメージに加算されず、アビスも発動しない。

アビス

「アビス」とは、怪物たちの持つ特殊能力のことです。

アビスの効果には、PCたちにダメージやステータス変化を与えるもののほか、戦闘ルールに干渉を加えるものも多く存在します。彼らは迷宮の理そのものを操るのです。

アビスを所持している怪物が戦闘に参加している限り、つねにアビスの効果は発揮されます。行動不能状態の怪物のアビスは効果を発揮しません。

代表的なアビスに、次のようなものがあります。他にどのようなアビスがあるかは、怪物データを参照してください。

アビス一覧
アビス名解説
【アクセル】 封殺判定に目標値を設ける。たとえば、目標値を8とするなら、【アクセル8】のように表記される。
【フェイタル】 逃走判定に目標値を設ける。たとえば、目標値を8とするなら、【フェイタル8】のように表記される。
【マキナ】 封殺判定の成功・失敗に関わらず、奇数ターンには攻撃力がダメージに加算されず、偶数ターンには封殺判定失敗時と同様の処理でPCたちにダメージを与える。
【ダイス】 毎ターンサイコロを振り、その目に対応した【アビス】を使用できる。

怪物の回復と蘇生

怪物が、アビスの効果により、仲間の怪物に対して「回復」や「蘇生」を行うことがあります。その際、ラビリス使いとは異なり、フォースのような数値の消費は必要としません。

彼らは迷宮都市に満ちる叫びと歪みから無尽蔵の力を得ることができるのです。

演出

戦闘といえば、ゲームにおいて最大の見せ場です。格好よく怪物どもを殲滅してもいいですし、血の汚泥を這いまわるような戦いもあるでしょう。

実際にやってみると考えることも多く、演出をしている暇がないことが多いかもしれません。思いついたら差し挟む、程度でも大丈夫なので、どのように敵を蹴散らしたか、仲間たちと連携したか、考えながら戦ってみてください。

また、封殺判定を失敗した場合、1の目を出したPCが何かミスをした……と考えることも演出の一助になるでしょう。そんな仲間にサイコロの振り直しなどの助け船を出すことができれば盛り上がるはずです。

しかし、犯人探しや学級会のようになってしまっては、一緒に遊んでいるプレイヤーたちに嫌な思いをさせかねません。何事もほどほどに。

怪物データ

≪マザーウーズ≫
叫び声の渦、「スクリーム・ホール」に棲まうすべての怪物の親。
hp1000
攻撃力300
アビスなし
≪ウーズ≫
迷宮都市に響く叫びから生まれる液状生命体。
hp50
攻撃力10
アビス【とろける】
戦闘開始と同時に【再生】状態になる。この【再生】はhp回復により解除されない。
≪忘却蟲≫
機械細工を思わせる美しい蟲。人の心を蝕む毒を撒く。
hp30
攻撃力20
アビス【マキナ】
【忘却毒】
PCはこの戦闘で「関係」の効果を使用できない。
≪剣クリーデン≫
呪われた屍者『クリーデン』。武器を携え生者を襲う。
hp50
攻撃力10
アビス【待ち構える】
戦闘開始と同時に【反撃】状態になる。この【反撃】はhp回復により解除されない。
≪プラーグ≫
移動能力を持つマメ科の種子。独特の腐乱臭を持つ。
hp90
攻撃力30
アビス【漂う臭気】
封殺判定が失敗したとき、PC全員を【猛毒】状態にする。
≪ガス人間≫
ブリテンに伝わる「霧の精」と人間の混血児。
hp50
攻撃力10
アビス【アクセル7】
【ガスブラインド】
封殺判定が失敗したとき、PC全員が怪物に与えるダメージを半減する。
≪アンカービー≫
錨状の巨大な針を持つ毒蜂。犠牲者に卵を産み付ける。
hp40
攻撃力10
アビス【地獄を指す矢印】
封殺判定が失敗したとき、1の目を出したPCのhpを0にする。
≪シェルラート≫
巻貝に身をひそめる液状生命体。本体は非常に低温。
hp100
攻撃力30
アビスなし
≪鎌クリーデン≫
呪われた屍者『クリーデン』。武器を携え生者を襲う。
hp60
攻撃力20
アビスなし
≪キャリオンクロウラー≫
数メートルにも達する巨大な芋虫。盲目の神の幼生であるとの説もある。
hp50
攻撃力10
アビス【突進】
封殺判定が失敗したとき、1の目を出したPCに50ダメージを与え、自分は行動不能になる。
≪チキンヘッド≫
閉鎖環境で生まれた混血児。毛をむしったニワトリのような姿の何か。
hp100
攻撃力20
アビス【頭突き】
hpが0になったとき、そのターンに自分に攻撃したPCを【麻痺】状態にする。
≪巨獣≫
洞窟ヤギを主食とする肉食動物。愚鈍だが、食物を生かして連れ歩く知能もある。
hp150
攻撃力30
アビス【殴りかかる】
hpが50以下のとき、攻撃力が2倍になる。
≪べロン≫
謎の甲殻類。甲羅でカビを栽培し、長い舌でなめる。
hp300
攻撃力30
アビス【舌でなめる】
戦闘開始と同時に【治療】状態になる。この【治療】はhp回復により解除されない。
≪戦士≫
*ここではない何処か*から召喚された勇士だが、冥界に呑まれ、完全に発狂してしまっている。
hp150
攻撃力30
アビス【マキナ】
【フェイタル7】
≪オ・ヴァロム≫
空中を浮遊する何かの生殖器。夏から秋にかけて増殖するらしい。
hp80
攻撃力20
アビス【増殖】
封殺判定が失敗したとき、≪オ・ヴァロム≫が1体戦闘に加わる。
≪フレッグ≫
溶岩の中で育つ、両生類風の姿をした火の精霊。
hp200
攻撃力30
アビス【火炎舌】
封殺判定が失敗したとき、1の目を出したPCを【傷痕】状態にする。
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