「なんだお前。さては、この街の酒は初めてだな?」
(≪青嵐≫、長旅を終えたばかりの冒険者を捕まえながら)
「なんだお前。さては、この街の酒は初めてだな?」
(≪青嵐≫、長旅を終えたばかりの冒険者を捕まえながら)
19世紀初頭、近代ヨーロッパ。それは、文明の灯が、幻想と闇を駆逐しつつあった時代。
――雪の都、ヴェネローゼ。
スカンジナビア半島北端に位置するその小さな街は、ばら戦争から落ち延びた英国貴族を中心に、独特の文化を築いていた。
地上で生活できる上流階級はほんのひと握り。居住区を求めた人々は、雪の届かぬ地底に迷宮のような都市を作り上げたのだ。
街は更なる面積を求め、その時代としてはもはや異形の建築技術を確立し、地下へ、地下へ。
そして西暦1806年。
彼らは地底深くで、この世界と「向こう側」を隔てていた『冥界の門』を破壊してしまった。
世界中から、生と死の境界が失われた。死者たちは呪われた屍者『クリーデン』として蘇り、腐り果てた肉体を引きずりながら仲間を求めて人々を襲う。
そしてヴェネローゼの地底都市は、かつて失われた幻想の世界の『怪物』たちが埋め尽くす魔境と化したのだ。
この状況に対抗する力を持つのは、一度死を迎え、しかし『クリーデン』とならず、異能の力『ラビリス』を持って蘇った選ばれし者、『ラビリス使い』だけ。
彼らは世界中からヴェネローゼの街へと集う。迷宮を攻略し、再び『冥界の門』を閉じて世界を取り戻すため――もしくはその建前のもとに、己の欲望を満たすために。
Ash Gamesが提供している無料ブラウザRPGです。管理がAshさんに移った経緯などのお話もありますが、それはここではいいでしょう。
かの「ゴールデン・ロア」や、トミーウォーカー系PBW(シルバーレイン、エンドブレイカーなど)のアカウント管理システムを使っていると隅っこに表示されているなんか、と言うと心当たりのある方もいるかと思います。
十年弱ほどなんら更新されていませんが、今でも新規登録し、遊ぶことができます。全盛期当時ちょうど中学生だった私は、仄暗く、少しシュールな世界観にドハマりしたものでした。
この「ヴェネローゼ異聞」は、その「ラビリス」の世界観をお借りした二次創作です。原作ゲームを知らなくても遊べるように工夫はしていますが、機会があったらぜひ原作ゲームを遊んでみてください! スナック感覚で死にます!
このゲーム「ヴェネローゼ異聞」は、ラビリスの「世界観」をTRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)として遊ぶことができるゲームです。
戦闘などのシステムには他のTRPGのシステムを流用しており、かなりシンプルなつくりになっています。
しかし、hpを削ってラビリスを習得し、ズババと先手を取って雑に全滅する「ラビリスらしさ」を出したいとは思っています。クソゲーとか言うな。
その代わりと言ってはなんですが、TRPGは、何人かで自分の作ったキャラを持ち寄り、なりきりながら遊ぶゲームです。他人の作ったキャラと交流して関係を築いたり、フォースイベントで自由奔放な行動をしたり、ゲームプレイの様子をまとめて公開したり、ブラウザRPGにはない楽しみ方がTRPGにはあります。
こんなものもあるのか、程度の気持ちで見てみてください。ラビリスを遊びたいのなら、ラビリスは今でも遊べるのですから。
ここに記されている設定や、ゲーム中の文章における設定は、『ラビリス』原作の公式見解とは限りません。
『ヴェネローゼ異聞』をTRPGとして遊びやすくするために、二次創作的に脚色された部分があります。あくまで、このゲームにおいての設定ととらえてください。
『ラビリス』の主な舞台となる、スカンジナビア半島――すなわちヨーロッパの北の果てにある小さな街です。
この石造りの街には、年中雪が降り注いでいます。地上にも一定のにぎわいがありますが、住民の大半は地下に発展した迷宮都市に居を構えています。
「ばら戦争」から落ち延びた英国貴族が築いた街であるため、公用語は英語です。ただし、雪深く寒い気候の影響か、文字や発音は独自の変化を遂げているようです。おそらく迷宮を意味するのだろう「ラビリス」という言葉そのものが、その表れなのかもしれません。
ヴェネローゼの地下に発展している、広大な迷宮状の居住区です。
もともとこの地に存在した謎の地下神殿を基盤とし、優秀な建築家の手によって開発が進められたそうです。その入り組んだ構造の全貌は明らかではなく、地下100階にも達するともと言われています。
「事件」以降は怪物たちの跋扈する異境となっていますが、そのすべてが怪物に埋めつくされているわけではありません。広大な迷宮の中には、今もたくさんの人々が生活しています。いつ怪物が現れるともしれない異境で、大規模な移動をすることができず、集落をつくって肩を寄せ合っているのです。
ヴェネローゼの迷宮都市を掘り進める過程で、ヴェネローゼの人々は地上と冥界を隔てる『冥界の門』を破壊してしまいました。
その日以来、世界中から生と死の境界が失われ、地上は呪われた動く死体『クリーデン』が生者を襲う地獄へと変貌してしまいました。
この世界を救うためには、一刻も早く『冥界の門』を閉じなければなりません。しかし、肝心の迷宮都市はいまや怪物たちの住処。そこで集められたのが、「ラビリス使い」たちです。
生と死の境界が失われた世界で、生前の記憶と不滅の肉体、そして異能の力「ラビリス」を得て蘇生した特別な死者たち。それがラビリス使いです。
怪物たちに対抗することができるのは、ラビリス使いの力だけです。彼らには、この世界を救う使命が与えられたともいえるのです。
……ただし、ラビリス使いも元はただの人間。建前はともかく、どういう思想や目的を持ってヴェネローゼに集まってきたのかは、人それぞれでしょう。
迷宮都市に跋扈する怪物たちは、かつて人類の文明に否定された幻想や伝説の中の存在です。
下等生物じみた形状のものから、遥かにヒトを凌駕する知能を持つもの。見た目は人間と変わらないものまで、さまざまな怪物が存在しています。元は人間であった死体が蘇生した『クリーデン』も、この怪物に含まれます。
また、冥界の狂気に呑まれてしまったラビリス使いが、怪物と成り果ててしまうことがあるという噂も、まことしやかにささやかれています。